放課後。



愛依が嬉しそうに私に近寄ってきた。



その様子から、桐ヶ谷くんのことだと分かった。



きっと何か昼休みの間に進展があったんだ。




その瞬間、きゅっと胸が強く誰かに掴まれたみたいに痛む。



「今日、桐ヶ谷くんと帰ることになったんだ!ありがとう、光凛のおかげ!私この勢いで付き合えるように頑張るよ!」



そっか。そこまで仲良くなったんだ。



じゃあ、桐ヶ谷くんと愛依が付き合うのも時間の問題なんだ。



きっと、美男美女カップルとか学校中で噂になるんだろうな。



「そっか、良かったね。愛依なら絶対大丈夫だと思うよ」




思ってもないことを言った。



桐ヶ谷くんのことを好きなわけじゃない。だから、愛依を応援しなくちゃいけないのに、どうしてそれができないんだろう。



「うん!ありがとう!」




嬉しそうに駆けて行く愛依を見ながら、沈んでしまう気持ちを奮い立たせるのに必死だった。



どうしても、二人が付き合った時のことを考えてしまう。



「ねぇ見て!愛依と桐ヶ谷くんが一緒に帰っているよ!」



「本当だ!わぁ、お似合い!」



「だね!どっかの地味女とは大違いだよねぇ」



窓の外を見た後、クスクス笑う女子達。




どうせ、地味女ですよ。




分かっているよ、私だって。




桐ヶ谷くんに合わないってことくらい。それに、合いたくもないし。
ただ、お弁当作っていただけだもん。




何も、ないもん。




まだ涙が出そうだったから、急いで教室を出た。