本当なら、万々歳のはずなのに。



「桐ヶ谷くんとは何もないんだよね?だったらお願い!私が桐ヶ谷くんと仲良くなれるように協力して!」



可愛くおねだりする愛依の姿は、男子なら誰でもイチコロだろう。きっと桐ヶ谷くんだって。




だから、私が協力しなくても愛依ならすぐに仲良くなれると思う。




でも、愛依が協力して欲しいって言うなら……。



「分かった。じゃあ、昼休み。いつもの空き教室にこのお弁当持って行って」



「え、良いの?」




愛依に桐ヶ谷くんのお弁当を渡した。



私の精一杯の想いだった。




桐ヶ谷くんがこのお弁当を食べて、私の作ったものだって気づいて欲しい。




「うん。桐ヶ谷くん、手作り弁当好きみたいだから」




そんな事実、知らない。




でも、桐ヶ谷くんが心のどこかで私のことを少しでも思ってくれているなら……その確信が欲しくて、私は愛依にお弁当を渡した。



「ありがとう!頑張るね!」




愛依は嬉しそうにお弁当を受け取った。




これで、良いんだよね。