俺が憎まれ口を叩けば、冷たく返してくる綾瀬。




普通の女子なら、何をしなくてもカッコイイとかもっと話したいとか勝手なこと言って来るのに、この女はまったくそんなことは言わなかった。



むしろ、俺を邪険に扱う。


それがまた、俺の気持ちを掻き立てる。



こいつの作った弁当が欲しくて、わざと恨まれるようなことを言った。



そうすれば意地になって、作って来てくれるかもしれないと思って。




予想通り、俺の弁当を作って来てくれた。




まさか、大好物のオムライスを作って来てくれるとは思っていなかった。




喜ぶ俺を微笑ましそうに見る綾瀬に、恥ずかしくなって俺はまた憎まれ口を叩く。





だが、現実はどうも上手くいかない。





俺はまた憎まれ口を叩き、綾瀬を怒らせた。





「明日からもう、絶対ここには来ないで」





教室を出て行く綾瀬の背中に、俺は何も言うことができなかった。




恋って、難しいんだな。