「ただいま」
優しく抱きしめられて、私もそれに応えた。
久々に感じる彼の温もり。
あー、私やっぱり桐ヶ谷くんが好きだよ。
「長い間待たせてごめん。もう絶対離さないから」
「うん……ずっと傍にいて」
もう離れなくて良いんだよね?私達、これからはずっと傍にいられるんだよね?
これからはいつでも会えるよね?
「ずっと、は無理だろ。仕事中とかは会えないだろうし」
少し悲しそうに言う桐ヶ谷くんに、ふふんと鼻を鳴らした。
ちゃんと策は練ってありますとも。
「何だよ。そのドヤ顔」
「私ね、今桐ヶ谷くんの病院で働いているんだ」
「は!?」
桐ヶ谷くんには内緒にしていたけど、大学の進路を決める時、私は桐ヶ谷くんの病院の附属の大学の看護科に決めた。
親や先生には大反対されたけど、押し切って入った。
桐ヶ谷くんは帰ってきたらきっとお父さんの病院で働くだろうから、一緒に働けることを夢見て。

