でも、本当にそうだったら嬉しいな。
「何を話しても上の空で、口を開けば光凛と成瀬くんはどんな感じなんだろうってそればっかりで。私、うんざりしちゃってさ」
心なしか、悲しそうな顔をしているのは気のせい？
もしかして、諦めようとしているの？桐ヶ谷くんのこと。
「だから、もう良いやって。流石に他の人見ている男の子に向かってく勇気なんてないから。だから同情なんかしないでね？ 私はまた別の道を見つけるから」
別の道って……。
本当に良いの？
愛依は桐ヶ谷くんのこと大好きだったのに、その気持ちを踏みにじるようなことしたのに。
「恋って、誰かが幸せになる代わりに誰かが傷つくんだよ。それが普通なの。当たり前なの。その傷つく人がたまたま私だっただけ」
「そんな……」
嫌だよ。愛依を傷付けてまで幸せになんてなりたくない。なれるわけない。
だって、愛依は桐ヶ谷くんと同じくらい私にとって大切な人なんだもん。
色々酷いことされたけど、高校で唯一友達になってくれた人だから。
