でも、まるで仕事から帰って来たお父さんみたい。
私のお父さんはこんなじゃないけど、テレビで見たよその家のお父さんが、こんな感じだった気がする。
亭主関白ってやつ? そういう家庭は作りたくないなぁ。
「おい、早く出せよ。もしかして、作ってこなかったとかないよな?昨日あれだけ言っといて」
言い返したいのに、こんな風に睨まれたら何も言えなくなってしまう。
仕方なく、作って来たお弁当を出した。
これで、少しはましな口聞いてくれると良いんだけど。
「は?これだけ?」
お弁当を見たとたん、いっそう眉にしわを寄せる桐ヶ谷くん。
さっきから文句ばっかり。
仕方ないでしょ、ひとつ作るのに精いっぱいだったんだから。
「うん、でも中身は詰まっているから」
多分、一段だけなのが気になったんだろう。
二段弁当で言う、ご飯を入れる部分だけ持ってきた感じだから。
でも、ご飯もおかずも一度に楽しめるメニューを作って来たからこれで充分なはず。
男の子が食べるものじゃないのかもしれないけど。
「意味分かんねぇし」
ブツブツ文句を言いながら、床に座る桐ヶ谷くん。
こんなに机と椅子があるんだから、どれかひとつ持って来てそこに座れば良いのに。
「座らないの?椅子」
恐る恐るそう言うと、キョトンとした顔でこちらを見る桐ヶ谷くん。
何よ、私何か変なこと言った?
「そこ座ったらお前怒るじゃん。昨日、教室入って来た時すっげぇ俺のこと睨んでいたの、自覚してねぇの?」
え、私睨んでいたの?
こんなに怖い人を?
やるじゃん、昨日の私!
「何ニヤニヤしてんだよ。キモイぞ」
そう言われ、慌てて無表情に戻る。
すると、桐ヶ谷くんがお弁当を開けようとしていたから何だかドキドキした。
まさか美味そうだな、とか言って欲しいわけじゃないけど、自分なりに頑張ったからそれなりの言葉は欲しい。
言ってくれるわけないだろうけど。
「お前、これ……」
お弁当を開けた瞬間、そう呟く桐ヶ谷くん。
その後何も言わない桐ヶ谷くんに、余計にドキドキする。
「何で俺の好きなヤツ知ってんだよ!」
「へ?」
私のお父さんはこんなじゃないけど、テレビで見たよその家のお父さんが、こんな感じだった気がする。
亭主関白ってやつ? そういう家庭は作りたくないなぁ。
「おい、早く出せよ。もしかして、作ってこなかったとかないよな?昨日あれだけ言っといて」
言い返したいのに、こんな風に睨まれたら何も言えなくなってしまう。
仕方なく、作って来たお弁当を出した。
これで、少しはましな口聞いてくれると良いんだけど。
「は?これだけ?」
お弁当を見たとたん、いっそう眉にしわを寄せる桐ヶ谷くん。
さっきから文句ばっかり。
仕方ないでしょ、ひとつ作るのに精いっぱいだったんだから。
「うん、でも中身は詰まっているから」
多分、一段だけなのが気になったんだろう。
二段弁当で言う、ご飯を入れる部分だけ持ってきた感じだから。
でも、ご飯もおかずも一度に楽しめるメニューを作って来たからこれで充分なはず。
男の子が食べるものじゃないのかもしれないけど。
「意味分かんねぇし」
ブツブツ文句を言いながら、床に座る桐ヶ谷くん。
こんなに机と椅子があるんだから、どれかひとつ持って来てそこに座れば良いのに。
「座らないの?椅子」
恐る恐るそう言うと、キョトンとした顔でこちらを見る桐ヶ谷くん。
何よ、私何か変なこと言った?
「そこ座ったらお前怒るじゃん。昨日、教室入って来た時すっげぇ俺のこと睨んでいたの、自覚してねぇの?」
え、私睨んでいたの?
こんなに怖い人を?
やるじゃん、昨日の私!
「何ニヤニヤしてんだよ。キモイぞ」
そう言われ、慌てて無表情に戻る。
すると、桐ヶ谷くんがお弁当を開けようとしていたから何だかドキドキした。
まさか美味そうだな、とか言って欲しいわけじゃないけど、自分なりに頑張ったからそれなりの言葉は欲しい。
言ってくれるわけないだろうけど。
「お前、これ……」
お弁当を開けた瞬間、そう呟く桐ヶ谷くん。
その後何も言わない桐ヶ谷くんに、余計にドキドキする。
「何で俺の好きなヤツ知ってんだよ!」
「へ?」

