その瞬間、私を掴んでいた男の手が緩む。
自由の身になった私は、その人物の元へと駆け寄る。



「誰かと思ったら、お前かよぉ」



「あー、そっか。この前桐ヶ谷くんと一緒にいた女じゃん」


意味の分からない言葉を並べながら、未だ私を舐めるように見るピアス男達。
あれだけ怖い思いさせておいて、忘れていたの!?



「はぁ?お前らみたいなサル顔なんか知らねぇよ。気持ちわりぃ」



サルって(笑)
確かに似ている気もしなくないけど。
「あぁ!?こっちはお前にやられた日からずっと鍛えてきたんだよ!」



「知らないなんて言わせねぇぞ!」



「お前らが弱いんだから、仕方ねぇだろ」



怒りを爆発させるピアス男達に全然怯むことなく、冷静に切り返す彼。




凄い。この前もそうだったけど、相変わらず平然としているな。



「うるせぇ!今日こそ決着をつけてやる!」



「どうあがいたって結果は同じだっつの」



冷静すぎるから心配になったけど、それは無用だった。