だって、昨日の私と成瀬くんを見て呆れたんじゃないの?




「お前にどうしても言いたいことがあったから待ち伏せていた」





待ち伏せていたなんて、普通堂々と言わないよ。
っていうか、待ち伏せてまで言いたかったことって何なの?




「お前さ、あいつのこと好きなの?」




「え、あいつ?」




って誰の……




「光大だよ」




「……」




思わず言葉に詰まってしまった。
まさか成瀬くんのこと言われるなんて思ってもみなくて。




「どうなの?」




何で……何で……さっきから




「私、は……」




どうしてさっきから




「ま、良いんじゃね。あいつ悪い奴じゃねぇし。好きなら付き合っても良いと思うよ」




どうしてさっきから、私の顔見てくれないの?




「じゃ、それ言いたかっただけだから」




桐ヶ谷くんは私が家から出てきて一度も、顔を見てくれなかった。
塀に隠れて表情なんて全然見えなくて。





今だって背を向けて去って行く桐ヶ谷くんがどんな表情をしているのか、全然分からない。




ねぇ、桐ヶ谷くん。今追い掛けたら立ち止まってくれる?
「やっぱり俺の所に来いよ」って、抱き締めてくれる?
そんなわけ、ないよね。桐ヶ谷くんは私の本当の気持ちを知ったって、困るだけだよね。