成瀬くんは学校を出ても何故か手を離してくれない。
女子もいないし、もう良いと思うんだけど。
「あの、成瀬くん?手、掴まれたままなんだけど……」
勇気を出して言ってみたけど、やっぱり離してくれない。
なんか、恥ずかしいんですけど。
「ねぇ、光凛ちゃん。何で俺が女子から君を守ったのかまだ分かんないの?」
「え?」
成瀬くんの質問に、思わず言葉が詰まった。
何で守ったか、なんて……そんな……。
「あの、えっと、どうして?」
そんなの分かんないよ。
成瀬くんの気持ち、ってことでしょ?
そんなの超能力者じゃないんだし、分かるはずがない。
「はぁ。正真正銘の鈍感ガールなんだね」
呆れながら言われても。
分からないものは分からないんだもん。
「俺、女の子には基本的に優しいからさっきみたいに女の子に怒ることって滅多にないんだ」
うん、だからみんな震えていた。
私だって怖かったし。

