あ、やばい。またやってしまった。


「ごめん、お母さん。ちょっとコンビニに行ってたの」

「お隣に回覧板届けに行っただけでしょ!?お願いだから、勝手に出かけないでちょうだい」

「うん、ごめん」


焦ったお母さんの顔を見ると「ごめん」以外の言葉が見つからない。


手からぶら下げていたビニール袋を、お母さんの前に掲げた。


「……プリン、買ってきたんだ。一緒に食べない?」


へらりと笑ってお母さんの目を見ると、お母さんも困ったように笑う。

そして、ふぅ、と息を吐いて。


「……そうね、もらおうかな。……ごめんね、茜。お母さんまた取り乱しちゃって」

「ううん。私ももう、行先言わずに勝手に出かけたりしないから」


そう言うと、お母さんはほっとしたような表情を浮かべた。