───ピンポーン。 インターホンを押して、数秒待った。 いつもなら、颯太のお母さんがパタパタとした足音を立ててドアを開けてくれる。 「……あれ?」 はず、なのに。 数十秒待っても、家の中から足音は聞こえなかった。 おばさん、出かけてるのかな。 もう一度鳴らしてみて、出なかったらポストにでも入れておこう。 そう思って、もう一度インターホンに手を伸ばした、その時。