たった、その一言。
それだけなのに、彼らは少し焦ったようにその場を去っていってしまった。
「ハハ、効果絶大」
すぐに笑顔が戻った須藤くんは、ちらりと私を見る。
「ありが……」
「ダメだよ、沢野さん」
「え?」
お礼を言おうとした私の言葉を遮って、須藤くんはそう言った。
「篠原さんは一緒じゃないの?風呂上りにそんな恰好でこんなところいるとか、いろいろもう少し警戒したほうがいいよ」
なんだか棘のある言い方だけど、困ったように笑うその目の奥は本当に心配してくれているみたいで。
「うん、ごめんね」
「まったく……。颯太には黙っとくからね。でないと、たぶんアイツらが絞められそうだし」
「絞め……っ!?」
「もう知ってるんでしょ?颯太が沢野さんのことになると全力なこと」
さも当たり前のようにそう言った須藤くんに、なんだか頷くのが辛くなる。



