あー情けない。
火照った体を冷やすように、手で顔を仰ぐ。
ふと、目の前に2つの影が差した。
「あれ、沢野さんじゃん」
「珍しいね、1人?胡桃ちゃんは?」
あー、この人たち、クラスメイトの……。
ぼんやりとした頭で、彼らの名前を思い出す。
いつも胡桃に声かけてた男子たち、だ。
「胡桃なら飲み物買いに行ってくれてる。いくら修学旅行だからって胡桃のこと困らせないでね?」
このくらいなら、私ももうだいぶ彼らと普通に話ができるようになってきた。
そんな自分に感心する。
「やだなぁ、俺らだっていつも胡桃ちゃんのこと追っかけてるわけじゃないよ」
「てか沢野さんのぼせてんの?顔真っ赤だけど」
大丈夫?なんて、私も心配されるくらいはこの人たちに嫌われなくなっているらしい。
「あー……、うん。ちょっとね」
とは言いつつも、普通に話せても距離にはまだ限度がある。
ちょっと、近い……かな。



