「茜ちゃんと柳くん、めっちゃ仲悪いイメージだったけど実は進展してたんだ~」
「ち、違……っ。颯太とは付き合ってないよ!ただ私が一方的に……」
そこまで言って、ハッとした。
けどもうそんなの時すでに遅し。
ブクブクと顔半分までお湯に沈んで、ゆっくりと背を向ける。
「きゃー、茜ちゃん可愛い!」
「照れてる茜ちゃん新鮮っ」
でもその行動もむなしく、結局桜ちゃんと小春ちゃんに根掘り葉掘り聞かれることになった。
「女子トーク怖い……」
「あはは、ハルちゃんもさっちゃんも恋バナになると人が変わってたね」
お湯に浸かりながら話していたせいか、温泉から出たころにはもう完全にのぼせてしまっていた。
部屋まで戻る気力もなくて、胡桃と一緒に近くの休憩コーナーでしばしの休息。
「茜ちゃん大丈夫?」
「ん~、あっつい」
「ちょっと待ってて、あっちの売店で飲み物買ってくるね」
パタパタと浴衣姿で走っていく親友の後ろ姿を、可愛いなぁと思いながらボーっと眺めていた。



