「……やばいな」 ポツリと、頭上からそんな声が聞こえた。 ドキドキと鳴り続ける心臓の音が、ふと2種類聞こえることに気が付いたのはそんな時。 「颯太……?」 「バカ。見上げんな」 う、わ……っ。 チラッと一瞬だけ見えた颯太の顔が、真っ赤になっていて。 「あー、くそ」 颯太の悪態をつくようなその言葉がただの照れ隠しだとわかった瞬間、体の奥からぶわっと感情が沸きあがるのがわかった。 「……手、回してもいい?」 「茜……?」 返事を聞くよりも先に、両手を颯太の背中へと回す。