「……ずっと、考えてたんだ」

「え?」


くるっと振り返った颯太が、私の目を見る。


「俺が茜にできること、他にないかって」


そして何を言われるのかと思えば、それは私にとって十分すぎる言葉だった。


「他にって……。もう十分すぎるくらいにしてもらってるよ?」

「別に大したことしてねぇだろ」


颯太はそう言うけれど、私には全部颯太がいてくれたからこそのことが多すぎるくらいだよ。

いつもいつも、颯太は私の一歩先で何かを考えてくれている。


そんな颯太にお礼も込めてなにかできることを探していたのに、颯太まで同じことを考えてたんじゃ意味がないじゃんか。



「手、繋ぐか?」

「……。……え?」


ふと、颯太が私へと手を伸ばしてきた。


あまりにも突然だったのとその衝撃的な発言に、一瞬固まる。