「うわ~、こんなにたくさん出店もあるんだね」
会場内に入ると、複数の出店が並んでいた。
花火大会といえど、普通のお祭りのような雰囲気。
もう何年もこういう場に来たことがなかったから、恐怖や不安よりも楽しみという気持ちの方が勝っていた。
「花火の打ち上げまでまだ時間もあるし、軽くまわってみるか」
須藤くんの提案で、私たちはいくつかの出店を回ってみることにした。
わたがしやりんご飴。型抜きに射的。
全部がどこか懐かしい。
「茜、平気か?」
「うん、大丈夫。むしろすごく楽しい」
時折、ずっと隣にいてくれる颯太が心配して声をかけてくれるから、それにも安心して私は心から楽しめた。
そして、花火大会打ち上げの時間。
「わ……やっぱりすごく混んでるね」
打ち上げ開始の10分前ともなると、あたりは人でいっぱいになっていた。



