4人で待ち合わせていた会場前に着くと、そこにはもうすでに胡桃と須藤くんが待っていた。
「きゃ~っ、茜ちゃん、その浴衣すっごく可愛い!」
淡いピンク色の生地に赤や白の桜の花が散りばめられた浴衣に身を包んだ胡桃が、カランカランと下駄の音を響かせてこちらに駆け寄ってくる。
「ふふ、ありがとう。胡桃だってすごく似合ってるよ。可愛すぎて、知らない男の人に声かけられないか心配」
「もう、茜ちゃんったら~。胡桃、勝手に付いて行ったりしないよ?」
2人で目を合わせてクスリと笑う。
でも、本当に冗談抜きで胡桃は可愛いから、心配なのは本当。
「大丈夫だよ、僕らもいるし。2人は安心して花火楽んで。ね?颯太」
「あぁ」
けど、そう言ってくれる2人がいるから本当に心強い。
須藤くんに対しても、だいぶ慣れたと思う。
この人は、間違っても私の嫌がることはしないって信用できる。
それはきっと、颯太が心を許してる人だから。
触れるのはまだ無理かもしれないけれど、もう至近距離で話しても恐怖心はなくなっていた。



