ロスト・ラブ



「ごめんね、胡桃」


せめて重い空気にならないようにと、ヘラッと笑うことしかできなかった。



「行けば?」

けど、直後に隣からそんな声が聞こえて。


「え、今なんて……」

「だから、行けばいいだろ、花火大会」


見上げると、そこにいた颯太が私を真っすぐに見下ろしていた。


「え、でも」

「もちろん茜と篠原2人で行かせるわけにはいかねぇけど。でも俺もいれば、おばさんだって許してくれるだろ」

「颯太……」

「行きたいところもやりたいことも、もう我慢するな。俺も一緒にいるから」


そう言ってくれる颯太に、思わず泣きそうになった。


あぁ、私は颯太に守ってもらってばかり。


頭ではそう思うはずなのに、どうしようもない私の心はドキドキと跳ね上がる。