「胡桃が親友でよかった」
「うぅ、茜ちゃん……今の胡桃にその言葉はズルいよぉ~……」
「あはは、ごめんごめん」
初めて人に話したのが胡桃でよかったと心から思える。
胡桃の頭をポンポンと撫でてから、2人でようやく帰り支度を始めた。
「ねぇ、茜ちゃん。ひとつだけいい?」
「うん?」
教室から出たとき、胡桃が廊下に目を落として静かな声で言った。
「……柳くん、"守ろうとしてた"んじゃないと思うよ」
「え……?」
「"ずっと守ってた"。が、正しい言葉だと思う」
スッと私に顔を上げた胡桃の目を見て、それが単なる気休めの意味じゃないことは理解できた。
でも。
「ごめん胡桃。意味が、よく……」
胡桃の急なその言葉の意味を、しっかりと把握できるわけもなくて。



