「やっぱ、さっきの取り消し」

「え……?」


急に立ち上がった颯太から発せられたのは、抑揚のない声。


「男の俺に相談とか、無理だろ」

そう言い放つ颯太の表情は見えなくて。


「そ、颯太?」

待って、なんだか様子が……。


「……近づきすぎたな」

「え?今なんて……」


そう聞くよりも先に、颯太は机の上の荷物をまとめて教室を出て行こうとしてしまう。


「ちょ、待って……」

思わず引き留めようと手を伸ばしたけれど、掴もうとした颯太のその手が一瞬私の向かって伸びてきて思わず手を引っ込めた。


「……ほらな」

「っ、」

「俺はお前を怖がらせる」


その意味が深く理解できてしまって、何も言えなくなってしまう。

やっぱり、颯太は……。