ロスト・ラブ



「どうかした?」

「あ、いや、別に……」


颯太の考えてることはわからない。……でも。


「……やっぱり無理か」

「っ!」

颯太がそう言ったことで、ドクンと心臓が音を立てた。


「俺の手にこんな小さい消しゴムじゃ、触れちゃうもんな」

「颯太……?」


自分の掌を見つめる颯太が、私の知らない颯太のような気がして。


待って。

やっぱり颯太は、私の恐怖症のこと……。


「茜、お前さ……」

「……っ」

再びジッと向けられた視線に、ゴクンと唾をのむ。



「触りたくないくらいの男嫌いとか、重症だぞ」

「……。……え?」

そこまで考えたのに、颯太のその言葉で考えることが止まった。


「んだよ、その反応。だってそういうことだろ?」


そう言って颯太はコロコロと掌で消しゴムをもてあそぶ。