ロスト・ラブ



「ごめんね、胡桃」


抱きしめ返して、胡桃には悪いけど笑みがこぼれてしまった。


私は胡桃が、胡桃も私が、大好きで大切で仕方ないんだ。

もしまた今みたいなことが起こったら、私はやっぱり胡桃を助けようと前に出るんだと思う。


でも、もし。

今日みたいに颯太が胡桃を守ってくれるなら。


………。

胡桃の隣にいてあげるべきなのは、私じゃなくて颯太なのかもしれない。



「ねぇ、聞いた!?あの噂」

「聞いた聞いた~。もう本当にショックすぎる……」


教室に着くと、なんだか女子たちが騒いでいた。

そしてその視線の先にいたのは、男子に囲まれて話している颯太の姿。