「せ、セーフ……!」


教室に着いたのは、予鈴が鳴る2分前。


「ったく、本当勘弁しろよな」

「だからっ、なんで……」

「いいから、早く席着けよ」

「ちょっと!」


話を聞く余裕もなく、颯太はいつものようにさっさと自分の席へ向かって行ってしまった。


「もう、なんなの」


息を整えながら、意味の分からない颯太の背中をキッと睨む。


私も席に着くと、後ろの胡桃が心配そうな目で声をかけてきた。


「茜ちゃん、大丈夫……?もしかして、昨日の、」

「おはよう、胡桃。ううん、普通に寝坊しちゃっただけ」


不安からか瞳を揺らす胡桃に、安心させるようにニコリと笑う。