恋の宝石ずっと輝かせて2


 動物病院に汗だくになった仁が駆け込んだとき、良子は診察室で飼い主に付き添われたイグアナを診察していた。

 あまり見慣れないすごい動物を見てしまい、あんなのも診ないといけない獣医の仕事の多様さを知って仁は驚く。

 その気持ちを顔には出さず、イグアナの飼い主に配慮して軽く良子と目を合わせ、自分の仕事をしようと奥の部屋へ勝手に入って行った。

 檻が並んでいる前に立てば、餌をもらえると猫達が落ち着きをなくして檻の中で数回円を描いて催促する。

 仁は餌を入れるボールを猫の数だけ用意して、軽量カップを使ってきっちりと入れていく。

 餌をもって檻の扉を開ければ、待ちきれないと頭を摺り寄せて来るものがいて、そのしぐさが可愛く仁の顔も綻んでいた。

 また犬にも同じように餌を与えるが、楓太の時だけは人間を相手するように接した。

「楓太だけ待たせて悪かったな。ほら食え。お代わりが欲しければ言ってくれていいんだぞ」

「拙者だけなんだか特別にされてるみたいだな。とにかくかたじけない」

 楓太は前足を前に揃えて座って落ち着いて仁を見ていた。

「特別って訳じゃないけど、言葉が通じると邪険にできないっていうかさ、そのアレだよ」

 犬を相手に何を話してるんだと思いつつ、仁は笑って誤魔化していた。

 楓太は静かに餌を食べ出した。