「ふーんなるほどな。よくある状況だといえばそうだが、どこか違和感ある話だな」
トイラが腕を組んでソファーの背もたれにもたれた。
「何が違和感なんだ」
「キイトはさっき、カジビは赤石を守ろうとしてるっていっただろ。でも今聞いた話からはそんなこと感じられないからさ。キイトがそう思う根拠がわからねぇんだ」
「それは……私が人伝に聞いた話を信じてないからだ。その話が私の耳に入ったとき、すでに色々と脚色されていたと思ったんだ。カジビは感情を抑えられずに、誤って間違いを起こしてしまったかもしれないが、その後狂って赤石を手に入れようとするなんて、私には考えられない。その後カジビが姿を消して結末がうやむやになってるのも信憑性が薄れる。これは何かの間違いだと信じてるのさ」
「その後のことだが、キイトはカジビの事件を知って、一度も山に戻らなかったのか?」
トイラは疑問の目を向けた。
「ああ、静養中だったし、病状が悪くて動けなかった」
「今はすっかり元気になったんだな」
「お蔭さんでな。人間界で言う、医学の進歩ってところか」
キイトは元気をアピールしようと、腕を曲げて力瘤を作る真似をした。
トイラはまだすっきりしない顔をしている。
だが、キイトはもう話すことはないと言いたげに立ち上がった。
トイラが腕を組んでソファーの背もたれにもたれた。
「何が違和感なんだ」
「キイトはさっき、カジビは赤石を守ろうとしてるっていっただろ。でも今聞いた話からはそんなこと感じられないからさ。キイトがそう思う根拠がわからねぇんだ」
「それは……私が人伝に聞いた話を信じてないからだ。その話が私の耳に入ったとき、すでに色々と脚色されていたと思ったんだ。カジビは感情を抑えられずに、誤って間違いを起こしてしまったかもしれないが、その後狂って赤石を手に入れようとするなんて、私には考えられない。その後カジビが姿を消して結末がうやむやになってるのも信憑性が薄れる。これは何かの間違いだと信じてるのさ」
「その後のことだが、キイトはカジビの事件を知って、一度も山に戻らなかったのか?」
トイラは疑問の目を向けた。
「ああ、静養中だったし、病状が悪くて動けなかった」
「今はすっかり元気になったんだな」
「お蔭さんでな。人間界で言う、医学の進歩ってところか」
キイトは元気をアピールしようと、腕を曲げて力瘤を作る真似をした。
トイラはまだすっきりしない顔をしている。
だが、キイトはもう話すことはないと言いたげに立ち上がった。



