恋の宝石ずっと輝かせて2

 カジビが潜伏しそうなところを探そうと、街の地図と郷土資料を引っ張り出しているとき、仁が時計を見て慌てふためいた。

「あっ、そうだ。良子さんの病院にいる犬猫の餌やらないと。それと預かってる犬の散歩もあった。ごめん、また連絡する」

 仁は急いで家に帰っていった。

「仁は色々と色んな奴に世話焼いて忙しいみたいだな」

 キイトがくすっと笑いながら言った。

「うん、仁は頼まれたら嫌って言えないし、いつも一生懸命でまじめなんだ」

 ユキも軽く微笑んで答える。

「そこに、お人よしって言葉が抜けてるぞ」

「そうだね」

「仁はいい奴だ。私の目からみてもそう思う。私はトイラよりは真面目な仁の方が好みだ。トイラはどうも性格悪そうだ」

「そんなことない。トイラは癖はあるかもしれないけど、とても心優しくて男らしい人なの」

 トイラと仁を比べるキイトにユキはむっとした。

「おいおい、そうムキにならなくても。でも、だったらなぜ人間になろうとしないんだ。どうも話を聞いてたら、ユキから自由になりたいだなんて、恋人があまり口にすべき言葉じゃないよな。それって恋人が言えば別れっていう意味だから」

 ユキは不安定に心が揺れ動き、瞬く間に泣きそうな顔になっていた。

「ちょっとそんな顔、するんじゃない。私がまるで虐めてるみたいじゃないか。そうじゃなくて、トイラがそんなことを言うのにはよほどの理由があるんじゃないかってことさ。トイラが命を張ってユキを助けたことは変わらないだろ。だから今回も何か意図があって言ってるんじゃないかって思ってね。なあ、トイラ、ちゃんと聞いてるんだろ」

 キイトはトイラに問いかけてみたが、トイラの意識は出てこなかった。

 きょとんとしているユキをみてキイトは苦笑いしていた。