手伝いが済み、良子の動物病院から開放されると、仁はユキの家へ向かった。
途中神社に立ち寄り、キイトを探したが会うことはできなかった。
仁はキイトにキスをされた額に手を当てて、暫く蝉の鳴き声を聞いて佇んでいた。
自分に何ができるのか考えたとき、仁は覚悟を決めた。
その気持ちのままユキの元へと向かった。
ユキの家に近づけば、ふんわりと甘い匂いが漂っている。
家に上がれば、暑い中、汗を欠きながらオーブンを使ってクッキーを焼いているユキがいた。
そのエプロン姿が可愛い。
「仁、ちょうどよかった。ちょっと味見して」
焼いて間もないふにゃっとしたクッキーを手渡され、仁は口に頬張る。
その様子を不安げに見詰めながら、ユキは仁の言葉を息を飲んで待っていた。
「うん、おいしいよ」
聞きたかった言葉が聞けて嬉しかったのか、ユキはほっと一息つく。
「よかった。これならキイトも食べてくれるね。今日はキイト、神社にいないのかな」
「さっき見てきたけど、居なかった」
「そっか。すぐに腐るもんじゃないからいいけど、焼きたて食べてもらいたかったな」
ユキはキッチンに戻り、使った道具の片づけをし始めた。
「なあ、ユキ、ちょっとトイラと話できないかな」
「うん、いいけど、ちゃんと何を話したか、後で必ず教えてよ」
「分かってるよ」
そういうや否や、ユキはダイニングテーブルに向かって座りだした。
「で、俺に何の用だよ」
「おお、もうトイラなのか。出てくるのが早いな」
仁もまたダイニングテーブルを挟んだ正面に腰を落ち着けた。
途中神社に立ち寄り、キイトを探したが会うことはできなかった。
仁はキイトにキスをされた額に手を当てて、暫く蝉の鳴き声を聞いて佇んでいた。
自分に何ができるのか考えたとき、仁は覚悟を決めた。
その気持ちのままユキの元へと向かった。
ユキの家に近づけば、ふんわりと甘い匂いが漂っている。
家に上がれば、暑い中、汗を欠きながらオーブンを使ってクッキーを焼いているユキがいた。
そのエプロン姿が可愛い。
「仁、ちょうどよかった。ちょっと味見して」
焼いて間もないふにゃっとしたクッキーを手渡され、仁は口に頬張る。
その様子を不安げに見詰めながら、ユキは仁の言葉を息を飲んで待っていた。
「うん、おいしいよ」
聞きたかった言葉が聞けて嬉しかったのか、ユキはほっと一息つく。
「よかった。これならキイトも食べてくれるね。今日はキイト、神社にいないのかな」
「さっき見てきたけど、居なかった」
「そっか。すぐに腐るもんじゃないからいいけど、焼きたて食べてもらいたかったな」
ユキはキッチンに戻り、使った道具の片づけをし始めた。
「なあ、ユキ、ちょっとトイラと話できないかな」
「うん、いいけど、ちゃんと何を話したか、後で必ず教えてよ」
「分かってるよ」
そういうや否や、ユキはダイニングテーブルに向かって座りだした。
「で、俺に何の用だよ」
「おお、もうトイラなのか。出てくるのが早いな」
仁もまたダイニングテーブルを挟んだ正面に腰を落ち着けた。



