恋の宝石ずっと輝かせて2


「お印とはなんだ?」

「神の使いに選ばれし者。それは特別な意味を与えられる」

「例えば?」

「それは自分で考えな。それがつけられたのなら、お前さんは気に入られたってことだ」

「気に入られた? とりあえず有難いってことか。まあいっか。ところでさ、ニシナ様のことだけど、風太はニシナ様がどこにいるか知っているのか」

 仁の問いに楓太は何も答えなかった。ひたすらむしゃむしゃと餌を食べている。

「どうして黙ってるんだ」

 仁が催促すると、楓太はゆっくりと顔を上げた。

「今それを拙者の口から言うことはできないからだ」

「と、言うことは知っているのか? それなら無事かどうかくらい分からないか?」

「ニシナ様はとても危ない状態とだけ教えといてやる」

「えっ、危ない状態? それって危篤ってことなのか? それとも命を狙われてるっていう意味? どっちなんだよ」

 仁が責め立てるように訊けば、楓太は頑なに口を閉ざしてしまった。
 ひたすら餌を食べている楓太。

 仕方なく仁は話題を変える。

「それじゃ、カジビはどこにいるか知ってるか?」

「ん? カジビ?」

 楓太は反応し、じーっと仁を見つめる。

「な、なんだよ」

「カジビがどこにいるのか、本当にお前さんはわからないのか?」

「分からないから訊いているんだよ。僕はただの人間だぞ。本当なら楓太のような仲間たちと交わることなんてないんだぞ」

「いや、お前さんはカジビがどこにいるかわかるはずだ」

「えっ? なんでそう思うんだよ」

「自分でよく考えな」

 そしてそれ以上、仁がどんなに声を掛けても楓太は再び言葉を発することはなかった。