仁は楓太をチラリとみてから、ドッグフードを準備すると、それを持って檻の柵をはさんで対峙した。
「おい、楓太、くれぐれも噛まないでくれよ」
「安心しな、お前さんのことは噛まないから」
「お前喋れるのか?」
「お前さんは、拙者が話してもあまり驚かないみたいだな」
犬が喋っても慣れきってしまい、落ち着いて檻のドアを開け、仁は餌を楓太の前に差し出した。
楓太はゆっくりと立ち上がり、匂いを嗅いでから食べ出した。
「もしかして、人の姿になれるとか」
仁は楓太の食べている様子をじっと眺めながら質問する。
楓太は顔を上げて、口の周りを舌で嘗め回してからまた喋った。
「拙者は話せる力をニシナ様に与えられただけだ」
「お前、ニシナ様のことを知ってるのか?」
「なんだ、お前もニシナ様のことを知ってるのか? お前は動物の姿に変われるのか?」
「いや、僕は普通の人間だ」
「ふーん。だけどなぜお印がついてるんだ」
「お印?」
楓太が自分の額を前足で何度も触って場所を知らせた。
仁もそれに合わせて自分の額に触れる。
そして、キイトがここにキスしたことをおぼろげに思い出した。
「おい、楓太、くれぐれも噛まないでくれよ」
「安心しな、お前さんのことは噛まないから」
「お前喋れるのか?」
「お前さんは、拙者が話してもあまり驚かないみたいだな」
犬が喋っても慣れきってしまい、落ち着いて檻のドアを開け、仁は餌を楓太の前に差し出した。
楓太はゆっくりと立ち上がり、匂いを嗅いでから食べ出した。
「もしかして、人の姿になれるとか」
仁は楓太の食べている様子をじっと眺めながら質問する。
楓太は顔を上げて、口の周りを舌で嘗め回してからまた喋った。
「拙者は話せる力をニシナ様に与えられただけだ」
「お前、ニシナ様のことを知ってるのか?」
「なんだ、お前もニシナ様のことを知ってるのか? お前は動物の姿に変われるのか?」
「いや、僕は普通の人間だ」
「ふーん。だけどなぜお印がついてるんだ」
「お印?」
楓太が自分の額を前足で何度も触って場所を知らせた。
仁もそれに合わせて自分の額に触れる。
そして、キイトがここにキスしたことをおぼろげに思い出した。



