恋の宝石ずっと輝かせて2

「そんなんじゃないって。良子さんのお得意のお客さんみたいなものだろ。だから愛想良くするしかないじゃないか」

「まあね、私も時々愛想良くしすぎておじさんたちを勘違いさせるときあるわ。一緒に食事いかがですかとか言われた」

「まさか、真に受けてないだろうな。柴山さんに知られたら、大変だぞ」

「大丈夫大丈夫、そんな誘いに乗らないって。私は高校生のときから圭太一筋よ」

 囚われたトイラたちを助けに行くときに、火事まで引き起こしたあの大騒動だったが、そのことは一切覚えておらず、良子と柴山圭太は寄りだけは戻していた。

 その柴山だが、只今ピューリッツアー賞を目指す勢いで写真を撮りまくっているらしい。

 お互いいい年なのに、いつ結婚するのか未定だが、二人が言うにはこの時一番いい関係を保っているらしい。

 高校生の時から、お互いこの人しか居ないと思った気持ちは、今も続いているところが仁には羨ましかった。

「あっ、仁、楓太に餌やるとき気をつけて。閉じ込められて気が立ってるから噛み付くかもよ~」

 良子は冗談交じりに仁をからかう。

「ええ、そんなの嫌だ」

「何行ってるの、将来獣医になりたいんでしょ。嫌がってどうすんの。犬の気持ちを考えて接しなさい」

「ハイハイ」

 仁は適当に返事する。

 その時、良子は掛かってきた電話に反応して、慌てて受付へと走っていった。