恋の宝石ずっと輝かせて2


 どこでキイトと別れたのか、仁は覚えていない。
 気がつけば一人で暗い夜道を歩いていた。

 一体何があったのか。

 キイトの話を聞いた後は放心状態に陥り、仁は何も考えられなかった。

 そんな仁を見たキイトは酷く同情し、仁を応援してやりたくなった。

「仁、気をしっかり持て」

 キイトは仁の額に優しくキスをする。

 それはおまじないのようであり、キイトの唇が触れた場所は不思議な光を放ちそれが仁の中へと沁みこんでいった。

 仁はそっと自分の額に触れる。少し熱を帯びているようだ。

「力を少し分けてやった」

 キイトはそんなことを言っていた。

 でも仁はキイトから聞いた話に気を取られすぎて、キスをされても驚かなかった。

 なんだかよくわからないままに何かが触れたくらいにか感じなかった。

 それからぼーっとして、気がつけば住宅街で一人暗闇の中自転車を押していた。

 すぐに家に帰る気力がなく、自転車を押して歩きながら、何度もため息をついてはこの先のことを考えていた。

 トイラを人間にできるかもしれない。

 本当にそれでいいのだろうか。

 ユキを思ってトイラを救いたいのなら、仁は覚悟してかからなければならない。

 果たして自分は快くトイラを人の姿に変えていいものか。

 仁は今になって怖じ気ついてしまう。

「ユキ、僕は一体どうしたら……」

 仁はユキの気持ちを第一に考えると辛くなってしまった。

 気持ちがすぐれないまま、家の玄関のドアを開けた。