恋の宝石ずっと輝かせて2

「それでいいって言えば、嘘になるかもしれない。でも、僕はユキが幸せになってくれたらいいんだ。この状態からユキを助けてやりたいんだ」

 仁の覚悟を聞いた上でキイトは真面目に話し出した。

「人の姿になれる詳しい方法は知らなかったみたいだけど、トイラは自分がユキの体から意識を切り離せる方法があるということは知ってると思うんだ。トイラに知恵を授けた奴がいる。そうじゃないとカジビのこと知る由がない。それができるのはカジビだから」

「えっ? カジビが意識を切り離すことができる?」

「そうだ。カジビは取り憑かれた霊やそのものの中に宿る要らない感情などを鏡の中に閉じ込める事ができるんだ。だけど尻尾が二つに分かれてたために、不吉な存在とされ、陰で嫌われていた。カジビは力を役立てて見返してやろうと、自分の能力を極限まで鍛えてたんだ。ところがそれが却って驚異的となり、いつしか皆に恐れられるようになってしまった。山の者たちはカジビを避けるようになり、山から追い出そうとしたとき、カジビは誤って山の者の魂を鏡に閉じ込めてしまった。そこからカジビは狂ってしまい、そして全てを支配したいがために赤石を狙ってしまったんだ」

 どこかで聞いた話だと仁はジークを思い浮かべながら聞いていると、キイトは何かを思い出したように少し涙ぐんだ様子で、左右の目を指で軽く払っていた。

「結局その後どうなったの?」

 仁の質問のあと少し間が開く。

 キイトは抱いた感情を振り払っていた。