恋の宝石ずっと輝かせて2

「もしかしたら、そのカジビがニシナ様を誘拐したんじゃないの? ここいらでみかえしてやろうとか。ほら、コウモリのジークみたいにさ。なんとなくトイラの辿ってきたものとオーバーラップするんだけど」

 仁はトイラをちらっと見た。

「そうかもしれねぇな」

 トイラは適当に答えていた。

「それで、赤石っていうのはどういう役目があるの?」

 太陽の玉や月の玉にも通じるものがあるだけに、それが仁にはひっかかる。

「赤石は、深みを帯びた赤色で光り輝くものだ。それを持つと山神様という資格を与えられる証だ。私達にはただのお守りという認識しかない。だが、よそ者には何か魔力を持つものだと思われているらしいんだ。実際、赤石に何かの力があるのかと聞かれても私にはわからない。それははニシナ様だけが知ってることだ」

 その話を聞いた後、暫く沈黙が続いたが、「ピジョンブラッド」とトイラが突然独り言のように呟いた。

「ピジョンブラッドとはなんだ?」

 キイトが反応した。

「直訳すれば鳩の血だが、それは濃い真紅のような輝きをもつルビーの色を称える敬称だ。ルビーの中でも希少価値で、最高級なものだ。即ちそれがここで言う赤石のことだろう」

「トイラ、それって赤石がルビーだっていいたいのか?」

 仁が聞くと、トイラは頷いた。

「ルビー? 赤石は西洋にもあるのか?」

 聞きなれない言葉にキイトは首を傾げる。

「何言ってんだよ、ルビーは宝石だよ。人間、特に女性が欲しがる価値ある石だ。一体赤石ってどれぐらいの大きさなんだ?」

 キイトは仁の前で手を使って石の大きさを表した。

 キイトが表現した大きさは、ジャガイモ一つ分ありそうだった。