5
チョコレートチップクッキーを珍しそうに手に取り、それを一口食べてキイトの目は見開いた。
「こ、これはなんというせんべいじゃ」
「それはせんべいじゃなくてクッキーというものなんだけど」
ユキが言った。
「クッキー? なんと甘くて美味い。甘いものといえば、おはぎや団子くらいしか食べたことないけど、こんなものがあったとはびっくりじゃ」
キイトは遠慮なくさくさくと食べていた。
その食べっぷりがよく、ユキも仁も暫く黙ってみていた。
飲み物を飲んだところでキイトはやっと話し出した。
「ところで、私になんの話があるんだ? こっちはあの時の侮辱が許せなくて、あんたに謝罪を要求しようと思ってたとこなんだけど」
指にについたチョコレートを舐めながらギロリとユキを睨んだ。
「あの時は大変失礼しました。ちょっと興奮して。でもあれはすっかり解決しました」
ユキは殊勝な態度を見せた。
「解決したって、大きな黒猫の問題のことか?」
「はい」
「ふーん、そっか。それで話というのはやっぱりニシナ様のことなんでしょ。その黒猫が誘拐したから、謝ろうという筋書きね」
「いえ、違うんです。私達はニシナ様というのがどなたか存じません。私が聞きたいのはカジビという人のことで……」
「ちょっと、今なんていったの? なんでその名前を知ってるのよ」
キイトはびっくりして跳ね上がった。
「やっぱり、その人のこと知ってるんですね」
今度は仁が聞いた。あっさりと解決の糸口にたどり着いて一陣の光が差し込んだ気持ちになった。
しかし、それは予期せぬ事態へと変わる。
チョコレートチップクッキーを珍しそうに手に取り、それを一口食べてキイトの目は見開いた。
「こ、これはなんというせんべいじゃ」
「それはせんべいじゃなくてクッキーというものなんだけど」
ユキが言った。
「クッキー? なんと甘くて美味い。甘いものといえば、おはぎや団子くらいしか食べたことないけど、こんなものがあったとはびっくりじゃ」
キイトは遠慮なくさくさくと食べていた。
その食べっぷりがよく、ユキも仁も暫く黙ってみていた。
飲み物を飲んだところでキイトはやっと話し出した。
「ところで、私になんの話があるんだ? こっちはあの時の侮辱が許せなくて、あんたに謝罪を要求しようと思ってたとこなんだけど」
指にについたチョコレートを舐めながらギロリとユキを睨んだ。
「あの時は大変失礼しました。ちょっと興奮して。でもあれはすっかり解決しました」
ユキは殊勝な態度を見せた。
「解決したって、大きな黒猫の問題のことか?」
「はい」
「ふーん、そっか。それで話というのはやっぱりニシナ様のことなんでしょ。その黒猫が誘拐したから、謝ろうという筋書きね」
「いえ、違うんです。私達はニシナ様というのがどなたか存じません。私が聞きたいのはカジビという人のことで……」
「ちょっと、今なんていったの? なんでその名前を知ってるのよ」
キイトはびっくりして跳ね上がった。
「やっぱり、その人のこと知ってるんですね」
今度は仁が聞いた。あっさりと解決の糸口にたどり着いて一陣の光が差し込んだ気持ちになった。
しかし、それは予期せぬ事態へと変わる。



