恋の宝石ずっと輝かせて2

「わかった」

 ユキはしぶしぶ承諾する。

「それで、カジビという人物を探さないといけないんだけど、なんか聞いたことない?」

 ユキは首を横に振ったが、突然目を大きくして閃いた。

「もしかしたらあの巫女さんに聞けば何かわかるかも。あの人何か不思議な力もってそうよ。私の中にトイラがいるってことも見えたし」

「そっか、あの巫女さんか。よし、後で僕がまたあの神社に行って探してくる」

「私も行く。どうせこの点滴が終われば家に帰れるんでしょ」

「ああ、そうだけど、ユキは少し休んだ方がいい。この暑さじゃ、また倒れてしまいそうだ」

 散々、仁に迷惑を掛けているので、ここは従うしかユキには選択がなかった。

「それじゃその人、見つけたら家に連れてきて。彼女とじっくりと話がしたいの」

 仁は口元を上げ、頷いて約束する。

 自然と笑みがこぼれたのもユキが比較的落ち着いていることに安心し、自分と距離を取ろうと思わなくなったことに少しほっとしたからだった。

 あのとき頑なに自分を拒否してきたのも、少なくともあの葉っぱの力に左右されたことだと気がつく。

 トイラを思う気持ちが力を増した支配力であり、それに知らずと従っていたのだろう。

 ユキが全てを知ることで、自分の意識を支配されないように少し抵抗力ができたのかもしれない。

 それとも、他に何か気がついた事があるのだろうか。

 ユキは眩しそうに窓の外に目をやり、木の枝に止まる鳥を眺めていた。