恋の宝石ずっと輝かせて2

 仁はたじろぐが、仁の方も我慢できない気持ちをぶつけだした。

「僕だってトイラからそんな話をされて、どうしていいかわからなかった。いきなり現れてそんな事言われて、冷静になれる方がおかしい。僕だって感情というものがある。僕がそんなことユキに内緒でできるわけがないじゃないか。それこそ一生罪を背負って生きていけってことになる。それに僕なら何のためらいもなくトイラをユキから抹消させられるなんて思われたのも悔しかったよ」

「バカ野郎! そんな風に俺が思うわけがないだろう。仁しか頼める奴がいないし、仁を信頼してるからこそお前にうちあけたんだ」

 トイラも言い返す。
 だが、見かけはユキなので仁は戸惑っていた。

「だけど、そんなの酷だよ。ユキはずっとトイラのこと思っていたんだよ。折角通じ合えるチャンスがあるのに、それを与えない方が間違ってる」

「いや、間違ってるのは仁の方だ。目の前のユキをよく見てみろ。ユキはおかしくなってしまった。本来なら命の玉を奪われた方が支配されるべきなのに、ユキは人間だから俺の命の玉を与えても俺の力が強かったってことだ」

 トイラは必死に訴えた。

「でもこれは、ユキがトイラと離れたくないから反抗してるんじゃないのか」

「仁にはそう見えるかもしれないが、これは違う。徐々に俺の意識の方が強くなってきているんだ。俺が知らずとユキの心を支配して思いを強く募らせてしまったんだ。早い話が俺に体を与えようとしている。このままではいつか逆転してしまうかもしれない」

「それって、ユキの意識が隠れて頻繁にトイラが表に出てきてしまうってことなのか?」

「そうじゃない。俺がユキを完全に支配して、ユキは二度と表に出て来れなくなるってことだ」

 見かけはユキだが、その話し方はやっぱりトイラだった。

 ユキなのにトイラ。
 それがずっとそうなるかもしれないことに仁は事の真相にやっと気がついた。