恋の宝石ずっと輝かせて2

 セキ爺がお供え物を指差しながら色々と話し合っているところをみると、山の者が欲しがっているものを伝えているのだろう。

 あのお供え物のいくつかは後にニシナ様の祠にも祀られることになる。

 ユキと仁の目から見れば、お祭りにも意味があるんだと感慨しく思っていた。

「子供の時は、綿アメ食べたり、金魚すくいして楽しんだりと、お祭りって遊ぶものだって思っていたけど、それは山神と人間を結ぶ架け橋だったんだね。こんなこと考えたこともなかったよ」

 仁は賑わっている祭りの様子を見ている。

 様々な人たちが、楽しそうにしている姿は見ていてほっこりするものがあった。

「そうよね。世の中には人間には見えないことがいっぱいあって、知らないだけなのかもしれない。でも私たちはそういう世界と交わってしまった」

 ユキも微笑みながら祭りに集う人々を見ていた。

 仁はそっとそのユキの横顔を見つめる。

 夜店の光に照らされて浮き上がるユキがとても可愛く見える。

 ユキを初めて見たときもそのかわいさに胸がキュンとした事を思い出す。

 ずっと自分の心の中で秘めていた気持ちだった。

 それが縁あってユキと知り合う事ができた。

 複雑な感情を抱いて馬鹿なこともいっぱいしてきたが、全てが大切に思えてくる。

 ユキの傍にいるだけでも仁には有難いことだった。

 でも、この薄暗い闇に紛れて仁は手を握ろうかと葛藤していた。

 だが、その時肩をぽんと叩かれた。