恋の宝石ずっと輝かせて2

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 八月に入って暫くした頃、夏祭りが始まった。

 山神様を祭り、山や畑の豊作と平和、そして人々の絆を願って祭りは山の麓の大きな神社で盛大に賑わった。

 ユキは紺色で花柄をあしらった浴衣を着て、仁と一緒に参加した。

 沢山の夜店も出ていたが、一際目を引いたのが山神の住む山に向けて、しめ縄と御幣を飾って特別お供えコーナーというべき場所が設けられていた所だった。

 米、酒、野菜、果物といったお供えものに紛れて、町の商店街や団体からの多数の贈り物が包装紙に包まれてお供えされていた。

 そこは花梨が中心となって仕切っており、次から次へとお参りに来る人々の案内役となっていた。

 その傍で八十鳩家の祖父母も見受けられた。

「なんだか忙しそうにしてるよね」

 仁は挨拶に行くのが躊躇われた。

「そうだね、邪魔しちゃ悪いし遠慮した方がいいかもね。また後でチャンスがあったらでいっか」

 ユキも気が引けた。

 次から次へとお供え物を持って人が現れる様子を見ると、手ぶらな自分たちでは側に寄ることが憚られた。

「それじゃ、僕たちはまずはこっちを楽しもうか」

 仁は夜店の並ぶ場所を見つめた。

「うん。それじゃ、まずはあれ食べようか」

 ユキが指差したところはたこ焼きだった。

「オッケー」

 仁はデートのリードを任されたように張り切って一皿買いに行く。

 それを二人で分け合って食べた。

 仁の口元についたソースを見ながらユキが笑うと、仁は慌てて拭い取ってはお互い顔を見合わせてにこりと微笑みあっていた。

 その時、わざとらしく喉をエヘンと鳴らして、躊躇いながらふたりの前に人影が現れた。