恋の宝石ずっと輝かせて2

「キジバトの緊急信号を受けてきてみれば、なんだか知らないが、トイラが人の姿になってるとは驚いた。カジビの仕業とは思えんが」

「その話は後だ。キイト、目の前に居る奴が、過去にお前を斬った奴だ。そしてこいつが赤石を狙っている悪党だ」

 それを聞いたとたん、キイトの目が炎で燃え上がるほどにぎらついた。

 全く違う人格が現れたように、その表情は憎悪で恐ろしいものに変化していた。

「お前が……キイトを……斬ったのか」

 怒りで声が途切れ途切れとなり、我を忘れそうなくらい感情が爆発しそうになっている。

「自分のことを名前で呼ぶなんて幼稚な奴だな。その分じゃ記憶がないみたいだな。しかしあの傷を受けてよく生きてたもんだ。俺はてっきり死んじまったと思ってた。まあいい。もう一度お前を斬るまでだ」

 カネタが飛び掛ろうとした瞬間、キイトは懐から鏡を取り出し、それをカネタの前に向けた。

 怒りの形相で呪文を唱えると、カネタの動きが封じ込まれ、そしていとも簡単にカネタはぱたりと前に倒れこんだ。

 トイラは違和感を持ちながらそれを見ていた。

「おい、その術は……」

 トイラが言い掛けたが、キイトは黙ったままさっきまでの怒りを捨てたように、持っていた鏡を静かに覗き込む。中では閉じ込められたカネタの姿が蠢き必死にキイトに助けを乞うていた。

 暫くカネタの歪んだ慌てふためいた姿を無表情で見ていたが、覚悟を決めるように再び体に力を入れた。

「キイトの仇! 問答無用」

 拳で鏡を割り、そしてそれを抜け殻となったカネタの体に投げつけた。

 ヒビが入った鏡はピリピリと稲妻のようにスパークし、カネタの体は青白い炎に包まれて燃えていく。

 そして容赦なく全てが燃え尽きた。火が消えた跡にはかわいらしいアライグマがポツンと座っていた。

「もうこれで悪さはできぬ」

 アライグマとなったカネタ――いや、カネタはアライグマの力を持つものだった。この山には生息しない外来種。ということはどこかの国から紛れこんだ特別な力を持った輩だった。

 キイトはそれを分離し、人の姿の方をこの世から抹消した。

 これでカネタはただのアライグマとなってしまった。

 そうして怖がるようにそそくさと山の中へと消えていった。