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ユキが危ない目に遭っているとき、トイラは自分の意識を外に出そうと必死でもがいていた。
けれどもキイトに掛けられた術のせいで、檻に入れられたように外に出る事ができなかった。
「くそっ、くそっ、こんな大事なときに限ってなんで出られないんだよ」
ユキが首を絞められ、トイラも一緒になってもがき苦しむ。
「誰か、誰かいないのか」
一時は楓太が現れたことで助かったと思ったが、それは気休め程度で終わってしまい、再び狂ったように意識を外に向けていた。
次に仁が現れたが、仁が戦って勝つような相手ではないとトイラはすでに絶望感を抱いてしまった。
「なんとか方法はないのか」
仁がユキに触れたときだった、トイラはビリリと衝撃を感じ声を聞いた。
「ふたりを助ける方法がある」
何もない空間でしゃがれた声が響いている。
トイラは辺りを見回す。
「誰だ」
「儂は山神のニシナだ。儂の体を使い外に出て来い」
「そんなことが可能なのか?」
「儂を誰だと思っておる。山神だぞ。この山で一番力を持つもの。その偉大な力をお前に貸してやる。仁がユキの体に触れているうちに強く念じなさい。さあ、早く」
トイラが外に出たいと念じたときだった。
体が引っ張られるように勢いつけて宙を舞った。それと同時に力が漲ってくる。かつて自分の森で黒豹として敵を倒したあの気力。再びトイラは手にした感触を得た。そして気がつけば沼の中に立っていた。その姿はトイラそのもの。
しかし、体を再び得たことに驚いている暇はなかった。
目の前でユキと仁がやられている。
その瞬間トイラは怒り任せに声を荒げて叫んでいた。
「そっちこそ、ふざけたまねすんじゃねぇ!」
突然怒りの声が響き渡った。
カネタが声のする方向を見れば、沼の中でトイラが立っていた。
「お前は誰だ」
「俺はトイラだ」
トイラは機敏な瞬発力でカネタめがけて飛び掛った。
ユキが危ない目に遭っているとき、トイラは自分の意識を外に出そうと必死でもがいていた。
けれどもキイトに掛けられた術のせいで、檻に入れられたように外に出る事ができなかった。
「くそっ、くそっ、こんな大事なときに限ってなんで出られないんだよ」
ユキが首を絞められ、トイラも一緒になってもがき苦しむ。
「誰か、誰かいないのか」
一時は楓太が現れたことで助かったと思ったが、それは気休め程度で終わってしまい、再び狂ったように意識を外に向けていた。
次に仁が現れたが、仁が戦って勝つような相手ではないとトイラはすでに絶望感を抱いてしまった。
「なんとか方法はないのか」
仁がユキに触れたときだった、トイラはビリリと衝撃を感じ声を聞いた。
「ふたりを助ける方法がある」
何もない空間でしゃがれた声が響いている。
トイラは辺りを見回す。
「誰だ」
「儂は山神のニシナだ。儂の体を使い外に出て来い」
「そんなことが可能なのか?」
「儂を誰だと思っておる。山神だぞ。この山で一番力を持つもの。その偉大な力をお前に貸してやる。仁がユキの体に触れているうちに強く念じなさい。さあ、早く」
トイラが外に出たいと念じたときだった。
体が引っ張られるように勢いつけて宙を舞った。それと同時に力が漲ってくる。かつて自分の森で黒豹として敵を倒したあの気力。再びトイラは手にした感触を得た。そして気がつけば沼の中に立っていた。その姿はトイラそのもの。
しかし、体を再び得たことに驚いている暇はなかった。
目の前でユキと仁がやられている。
その瞬間トイラは怒り任せに声を荒げて叫んでいた。
「そっちこそ、ふざけたまねすんじゃねぇ!」
突然怒りの声が響き渡った。
カネタが声のする方向を見れば、沼の中でトイラが立っていた。
「お前は誰だ」
「俺はトイラだ」
トイラは機敏な瞬発力でカネタめがけて飛び掛った。



