恋の宝石ずっと輝かせて2

「ああ、あの巫女と老いぼれイノシシだろ。老いぼれイノシシの方は刃向かってきたので途中で逃げたけど、まさか巫女が生きてるとは思わなかった。かなりのダメージを与えたはずだったんだが」

 カネタが偽物をつかまされたと意味してるのは白いハートの石に違いない。

 仁はユキが見た映像の筋道を頭の中で整理していた。

 あの白い石を本物と思わせようとキイトは先回りして、守るフリをしたに違いない。

 だから、最初にキイトが石を手にした映像が現れた。

 カネタはそれを赤石と思い込み、そしてキイトを斬って奪った。

 キイトは負傷してしまったが、何とかして赤石を守りきった。

 その後、カネタは奪った白いハートの石で力を試そうとするが、なんの効果もなくやがてそれが偽物と気がつく。

 腹を立て捨ててしまうが、偶然にも瞳が拾うことになった。

 白いハートの石も何らかの力があったから、ユキが石に触れたことで、あの映像を見せられた。

 あの白い石は犯人を知らせようとしていたに違いない。

 もっと早くカネタの首の傷に気がついていたら――。

 仁は悔しくて歯をきつく噛み合わせていた。

 懇親の力を振り絞り、仁は足をばたつかせてカネタの急所を狙った。

 上手く蹴りが入り込み、仁のシャツを掴む手が緩んで仁は振り払った。

「くそっ、ジン」

 股間を押さえて痛がっている間に、仁はユキを抱いて逃げようとした。

 だがカネタには十分なダメージではなかった。

 怒りだけをたきつけてしまい、カネタは容赦なく仁の体を所構わず蹴りまくった。

 仁はユキを庇うことに必死で、ユキの盾となり蹴られるままになっていた。

 そのうち後頭部を蹴られ、目の前が真っ暗になってしまう。

 仁は意識を失ってユキと重なるように倒れこんだ。

「世話を焼かすんじゃない」

「そっちこそ、ふざけたまねすんじゃねぇ!」

 突然怒りの声が響き渡った。

 カネタが声のする方向を見れば、沼の中でトイラが立っていた。

「お前は誰だ」

「俺はトイラだ」

 トイラは機敏な瞬発力でカネタめがけて飛び掛った。