それでもなんとかして起き上がろうとするが、よろよろ立ち上がるものの楓太もそこで力尽きてしまった。
「いい気味だ」
カネタは倒れているユキと楓太を交互に見ては、面倒臭い仕事が増えたとばかりに嫌な顔をしていた。
仕方がないと、どちらも脇に抱えて森の中へと突き進んでいく。
沼に突き当たったところで、まずは楓太をそこに放り投げた。
夏の間は水分が減少して浅くなっており、楓太は体が少し浸かっただけになっていた。
「なんだ? これじゃ水溜りじゃないか」
次にユキを沼の淵に寝かし、どう始末しようか考え込んでいた。
沼に落ちて事故死にみせかけようとしたが、その役割を充分果たしてくれるような沼ではなかった。
暫く思案していたとき、バタバタっと鳥の羽ばたきの音と共に、息をつかせて仁が走ってきた。
ユキが地面に倒れているのを見て、髪の毛が逆立つくらい仁は驚愕した。
「一体何が起こったんだ!」
ユキに近づき抱え込んで身を起こし、説明して欲しいと側にいたカネタを見上げた。
「このお嬢さんがここに倒れていたから俺もびっくりしてたとこだ」
仁はその言葉通りに受け取っていいのか、困惑の表情を見せていた。
だが、沼に楓太がゴミのように捨てられているのを見て、顔を青ざめた。
「楓太!」
呼んでも反応がない。
自分がここへ楓太の友達のキジバトに導かれて連れてこられた理由を悟ると、仁はカネタに敵意の眼差しを向けた。
「全てはカネタさんがやったことですね。一体どうしてこんなことを」
大人しいと思っていた仁の目が鋭く憎しみを含んでカネタを睨んでいた。
そうなれば、何を言ったところで騙せないと、カネタもあっさりと諦めて、仁を睥睨した。
「いい気味だ」
カネタは倒れているユキと楓太を交互に見ては、面倒臭い仕事が増えたとばかりに嫌な顔をしていた。
仕方がないと、どちらも脇に抱えて森の中へと突き進んでいく。
沼に突き当たったところで、まずは楓太をそこに放り投げた。
夏の間は水分が減少して浅くなっており、楓太は体が少し浸かっただけになっていた。
「なんだ? これじゃ水溜りじゃないか」
次にユキを沼の淵に寝かし、どう始末しようか考え込んでいた。
沼に落ちて事故死にみせかけようとしたが、その役割を充分果たしてくれるような沼ではなかった。
暫く思案していたとき、バタバタっと鳥の羽ばたきの音と共に、息をつかせて仁が走ってきた。
ユキが地面に倒れているのを見て、髪の毛が逆立つくらい仁は驚愕した。
「一体何が起こったんだ!」
ユキに近づき抱え込んで身を起こし、説明して欲しいと側にいたカネタを見上げた。
「このお嬢さんがここに倒れていたから俺もびっくりしてたとこだ」
仁はその言葉通りに受け取っていいのか、困惑の表情を見せていた。
だが、沼に楓太がゴミのように捨てられているのを見て、顔を青ざめた。
「楓太!」
呼んでも反応がない。
自分がここへ楓太の友達のキジバトに導かれて連れてこられた理由を悟ると、仁はカネタに敵意の眼差しを向けた。
「全てはカネタさんがやったことですね。一体どうしてこんなことを」
大人しいと思っていた仁の目が鋭く憎しみを含んでカネタを睨んでいた。
そうなれば、何を言ったところで騙せないと、カネタもあっさりと諦めて、仁を睥睨した。



