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ユキは木の幹や落ちてる枝に躓きそうになりながら、カネタから必死で逃げている。
カネタは追いかけっこを楽しむようにユキに迫り、不気味な笑みを浮かべていた。
この方向へ進めば逃げきれない。ユキはなんとかしようとくるっと振り返ってカネタに挑んだ。
それと同時にカネタも警戒してその場で立ち止まった。
焦る気持ちを落ち着かせ、こうしているうちにもしかすればトイラの意識が出てくるかもしれない。
ユキは少しでも時間を稼ぎたかった。
そのためには話し合いがいい。
もし目の前にいるのがカジビなら、仲良くしなければトイラを人間にしてくれとは頼めない。
ユキは花梨から聞いたカネタの話を元に、敵意を持つことをやめた。
できるだけ笑って話しかけた。
「あの、ちょっと待って下さい。よく考えたらなぜ追いかけっこしないといけないんでしょう? 何か誤解されてるかもしれません。私はあなたには何の感情も持ってませんし、その、もう一度話し合いませんか?」
「話し合うも何も、あんたが勝手に逃げ出したんだろう。逃げ出すってことは俺が悪者だって思ってるってことだ」
「仁から聞いたことを思い出したんです。カネタさんは人を脅かすのが好きだって。これも冗談なんでしょ」
ユキは精一杯の笑顔を向けたつもりだった。しかし実際は顔が強張って引き攣っていた。
ユキは木の幹や落ちてる枝に躓きそうになりながら、カネタから必死で逃げている。
カネタは追いかけっこを楽しむようにユキに迫り、不気味な笑みを浮かべていた。
この方向へ進めば逃げきれない。ユキはなんとかしようとくるっと振り返ってカネタに挑んだ。
それと同時にカネタも警戒してその場で立ち止まった。
焦る気持ちを落ち着かせ、こうしているうちにもしかすればトイラの意識が出てくるかもしれない。
ユキは少しでも時間を稼ぎたかった。
そのためには話し合いがいい。
もし目の前にいるのがカジビなら、仲良くしなければトイラを人間にしてくれとは頼めない。
ユキは花梨から聞いたカネタの話を元に、敵意を持つことをやめた。
できるだけ笑って話しかけた。
「あの、ちょっと待って下さい。よく考えたらなぜ追いかけっこしないといけないんでしょう? 何か誤解されてるかもしれません。私はあなたには何の感情も持ってませんし、その、もう一度話し合いませんか?」
「話し合うも何も、あんたが勝手に逃げ出したんだろう。逃げ出すってことは俺が悪者だって思ってるってことだ」
「仁から聞いたことを思い出したんです。カネタさんは人を脅かすのが好きだって。これも冗談なんでしょ」
ユキは精一杯の笑顔を向けたつもりだった。しかし実際は顔が強張って引き攣っていた。



