恋の宝石ずっと輝かせて2

 ユキは自転車めがけてとっさに逃げたが、カネタの素早い動きで行く先をふさがれた。

 またジリジリと近づいては手にしていたタオルの両端を握り、それをピンと張ってユキに見せ付ける。

 まるで首を絞めると誇示しているようだった。

 逃げなくっちゃ。

 前の道をふさがれてしまえば、逃げ道は森の中しかない。追い込まれるように走っていく。

 戦える武器はないかと、手ごろな枝を探した。

 咄嗟に長い枝を拾い、カネタに向かって一振りしてみたが、カネタには全く堪えず、軽々と身をかわす。

 そのかわし方が素早く、普通の人間の動きではなかった。

 もしや、カネタは――。

 ユキの心臓が早鐘を打つ。

 じりじりとカネタに追い詰められ、さらに森の奥へと逃げるしかなかった。

 しかし、これでは逃げ切れない。

「誰か、助けて!」

 声を張り上げても人がいないこの場所では無駄だった。

 ユキは何とかしてトイラが出てくるまで時間を稼ごうとしていた。

 その時、キジバトがその様子を見てすぐに飛び立った。

 ユキの危険を知らせようと楓太まで羽をばたつかせて飛んでいく。

 楓太がそれを知ったとき、一目散にユキの元へと駆けて行った。

 キジバトもまだ知らせるべき人物の元へと羽ばたいて行った。