「ああ、あれなら嘘だよ。あんたかジンのどちらかを呼び寄せたかっただけだ。さて、赤石について教えてもらおうか。夏休みの自由研究なんだろう。かなり情報を集めたそうじゃないか」
ユキは一気に背筋が凍り戦慄を感じた。カネタは自分にとっては危ない存在。
だが、それをすぐに態度に表してはいけないと、冷静を装うが声が上擦ってしまった。
「あ、あの、私何も知りません」
なんとかこの場から逃げ出そうと、横目で自転車の位置を確かめながらユキは後ずさる。
「そんなことはないだろう。昨日の夜は見つけたと言ってたじゃないか」
あれはトイラが言ったことだった。
──トイラの馬鹿! 余計な事を。
ユキはトイラの意識を呼び出したかった。自分では乗り切れそうな気がしない。
しかし、キイトの術で暫くはトイラが出て来れない事を思い出し、絶望的にどんどん血の気が引いていく。
「あれは、その、それらしい感じの石だったので、つい嘘ついちゃいました」
テヘペロと冗談で済まそうと試みたが甘かった。
カネタの表情が固くなったかと思うと、目つきが鋭くなり苛つきだした。
これ以上悠長なことも言ってられないと、態度を豹変して一歩ユキへ近づいた。
そして首に掛けてあったタオルを取ったときだった。
ユキははっとした。
首の横に傷があったからだった。
この時はっきりと目の前の人物が誰だか気がついた。
キイトを襲った男──。
ユキは一気に背筋が凍り戦慄を感じた。カネタは自分にとっては危ない存在。
だが、それをすぐに態度に表してはいけないと、冷静を装うが声が上擦ってしまった。
「あ、あの、私何も知りません」
なんとかこの場から逃げ出そうと、横目で自転車の位置を確かめながらユキは後ずさる。
「そんなことはないだろう。昨日の夜は見つけたと言ってたじゃないか」
あれはトイラが言ったことだった。
──トイラの馬鹿! 余計な事を。
ユキはトイラの意識を呼び出したかった。自分では乗り切れそうな気がしない。
しかし、キイトの術で暫くはトイラが出て来れない事を思い出し、絶望的にどんどん血の気が引いていく。
「あれは、その、それらしい感じの石だったので、つい嘘ついちゃいました」
テヘペロと冗談で済まそうと試みたが甘かった。
カネタの表情が固くなったかと思うと、目つきが鋭くなり苛つきだした。
これ以上悠長なことも言ってられないと、態度を豹変して一歩ユキへ近づいた。
そして首に掛けてあったタオルを取ったときだった。
ユキははっとした。
首の横に傷があったからだった。
この時はっきりと目の前の人物が誰だか気がついた。
キイトを襲った男──。



