恋の宝石ずっと輝かせて2

「ああ、あれなら嘘だよ。あんたかジンのどちらかを呼び寄せたかっただけだ。さて、赤石について教えてもらおうか。夏休みの自由研究なんだろう。かなり情報を集めたそうじゃないか」

 ユキは一気に背筋が凍り戦慄を感じた。カネタは自分にとっては危ない存在。

 だが、それをすぐに態度に表してはいけないと、冷静を装うが声が上擦ってしまった。

「あ、あの、私何も知りません」

 なんとかこの場から逃げ出そうと、横目で自転車の位置を確かめながらユキは後ずさる。

「そんなことはないだろう。昨日の夜は見つけたと言ってたじゃないか」

 あれはトイラが言ったことだった。

 ──トイラの馬鹿! 余計な事を。

 ユキはトイラの意識を呼び出したかった。自分では乗り切れそうな気がしない。

 しかし、キイトの術で暫くはトイラが出て来れない事を思い出し、絶望的にどんどん血の気が引いていく。

「あれは、その、それらしい感じの石だったので、つい嘘ついちゃいました」

 テヘペロと冗談で済まそうと試みたが甘かった。

 カネタの表情が固くなったかと思うと、目つきが鋭くなり苛つきだした。

 これ以上悠長なことも言ってられないと、態度を豹変して一歩ユキへ近づいた。

 そして首に掛けてあったタオルを取ったときだった。

 ユキははっとした。

 首の横に傷があったからだった。

 この時はっきりと目の前の人物が誰だか気がついた。

 キイトを襲った男──。