「でもそれはカジビを見つけないと」
今にも飛び出そうとしているキイトの腕をユキは掴んだ。
このままキイトに行かれたら、カジビを見つけ出すのがまた遅れてしまう。
ユキはキイトの関心を得ようと、白い石が見せた映像の事を仄めかした。
「待って、キイト。一つだけまだ話してないことがあるわ。私、あなたと誰かが戦っている映像を見たの」
「ん? 何のことだ?」
キイトは眉間に皺を寄せた。
仁はこの時、自分のポケットにあの白い石が入っていることを思い出し、軽くジーンズに触れた。
ユキも白い石のことは言わずに、様子を見ながら映像のことを説明する。
「偶然何かの拍子で、目の前にあなたが鋭いものに胸を引っかかれて血を流している姿が現れたの。あれはどういうことか説明してくれない?」
キイトの呼吸が急に乱れ出した。
目を見開き、手元が少し震えている。
「ユキは全てを見たのか?」
「やはり、何か重要なことみたいね」
キイトは黙り込んでしまった。
ぐっと拳を強く握って、葛藤している様子にも見える。
そして少し間を置いてから小さく訊いた。
「……その時、私は誰に切られていた?」
「えっ?」
その質問はユキには滑稽に聞こえた。
切られた本人は確かに相手を知っているはずだったからだ。
お互い向き合って顔を見ていたはずだった。
ユキが不思議そうな表情を見せたので、キイトははっとした。
「いや、何でもない。もちろんその相手は分かっている。すまないが、先を急ぐ。また連絡する」
「ちょっと、キイト」
キイトは軽々とソファから飛び降りると、一目散に玄関に向かって、あっと言う間に去っていってしまった。
玄関までユキは追いかけたが、その後は諦めるしかなかった。
今にも飛び出そうとしているキイトの腕をユキは掴んだ。
このままキイトに行かれたら、カジビを見つけ出すのがまた遅れてしまう。
ユキはキイトの関心を得ようと、白い石が見せた映像の事を仄めかした。
「待って、キイト。一つだけまだ話してないことがあるわ。私、あなたと誰かが戦っている映像を見たの」
「ん? 何のことだ?」
キイトは眉間に皺を寄せた。
仁はこの時、自分のポケットにあの白い石が入っていることを思い出し、軽くジーンズに触れた。
ユキも白い石のことは言わずに、様子を見ながら映像のことを説明する。
「偶然何かの拍子で、目の前にあなたが鋭いものに胸を引っかかれて血を流している姿が現れたの。あれはどういうことか説明してくれない?」
キイトの呼吸が急に乱れ出した。
目を見開き、手元が少し震えている。
「ユキは全てを見たのか?」
「やはり、何か重要なことみたいね」
キイトは黙り込んでしまった。
ぐっと拳を強く握って、葛藤している様子にも見える。
そして少し間を置いてから小さく訊いた。
「……その時、私は誰に切られていた?」
「えっ?」
その質問はユキには滑稽に聞こえた。
切られた本人は確かに相手を知っているはずだったからだ。
お互い向き合って顔を見ていたはずだった。
ユキが不思議そうな表情を見せたので、キイトははっとした。
「いや、何でもない。もちろんその相手は分かっている。すまないが、先を急ぐ。また連絡する」
「ちょっと、キイト」
キイトは軽々とソファから飛び降りると、一目散に玄関に向かって、あっと言う間に去っていってしまった。
玄関までユキは追いかけたが、その後は諦めるしかなかった。



