恋の宝石ずっと輝かせて2


 キイトを連れて再び家に戻れば、知らぬ間にキッチンが散らかっていてユキは驚いた。

「ごめん、ユキ。トイラが勝手に食べていいっていうもんだから、つい」

 仁が傍でシュンとしていた。

「ちゃんとご飯作れた? 私も食べたんでしょ」

 中身はトイラであっても体は自分だから、ユキは責めるよりもしっかり食べたことの方が気になる。

 仁が頷くとユキはにっこりと微笑んだ。

「それならよかった」

 ユキが片付けようとしたとき、仁はそれを遮った。

「ユキ、とにかく片付けは後にして。今は時間がないんだ。昨晩のこと全部話すからとにかくキイトと一緒に座って」

 一分一秒でも無駄にしている時間はない。

 仁はユキとキイトの前で八十鳩家の祠のことを話した。

「それは本当か。ほんとにそんなところに赤石があったのか」

 すぐさまキイトが反応し、興奮して立ち上がる。

「楓太もそれは本物と認めていた。なぜそこにあったのか理由は言わなかったけど」

 仁は楓太の事情のことも説明する。

 キイトはソファの上で胡坐を掻いて座りなおすと、腕を組んで静かに考えた。

「なるほど、私にはなぜそこに赤石が隠されていた理由がわかった。そこまでよく調べてくれたな。これで誰が犯人か分かりかけてきた。大方の問題は解決しそうだ」

「えっ、理由も犯人もわかったって、一体どういうこと? 僕たちにも教えてくれないか」

 仁がその先を知りたいと催促する。

「いや、ここからは私の問題だ」

「ちょっと待ってよ。カジビの件はどうするの? 犯人ってやっぱりカジビなの? 私たち、カジビを探さないと困るんだけど」

 ユキはカジビを探す事を優先して欲しい。

 キイトにすがる目をむける。

「ユキの問題も分かっておる。もう暫く待て。私の問題が解決したら必ずトイラの手助けをすると誓おう」