恋の宝石ずっと輝かせて2


 カネタとやり過ごし、トイラは先を急ぐ。

 自転車と人が融合した影が前方の暗闇からぼんやりと現れると、トイラは叫んでいた。

「仁!」

「ユキ、心配したぞ。今までどこにいたんだよ」

「すまねぇ。ちょっと色々とあった。そっちは上手く行ったのか?」

「えっ? 今、トイラなのか?」

 仁はこんがらがる。

「とにかく家に戻ろう。話はそれからだ」

 トイラが自転車を漕ぎ、先を行く。

「ちょっと、待って、ユキ、いや、トイラ!」

 仁は慌てて後を追いかけた。

 ふたりがユキの家に戻ったとき時計はすでに10時をまわっていた。

「なんだか遅くなっちまったけど、仁、家に帰らなくて大丈夫か? これから話をしたらもっと遅くなる。今日は泊まっていったらどうだ?」

 ユキの口から出た言葉だったので、いくら中身がトイラでも仁はドキッとしてしまった。

「えっ、泊まっていいの?」

「お前さ、なんか勘違いしてないか。これは俺が言ってる言葉であって、ユキじゃないんだぞ」

「そ、そんなの分かってるよ! ちょっと電話借りるよ」

 仁は家に電話して友達のところで泊まっていくと母親に伝えた。仁の母親は受話器の向こうで何か言いたげだったが、仁は強行突破でユキのことには触れずに電話を切った。

「その分じゃ、仁の母親はユキと何かあるんじゃないかって疑ってるみたいだね」

 ユキの顔でニヤニヤとからかわれると、仁はイライラしてきた。

「いい加減にしろ。中身がトイラなんだから間違い起こすわけないだろ」

「当ったり前だ。だが中身がユキ本人であっても間違い起こすなよ」

 仁は言われなくても分かってると言いたげに、抗議する不満な目つきを向けた。

「まずは仁から話して貰おうか。八十鳩家で何か情報掴んだのか?」

 トイラは居間の安楽椅子に腰をかけた。