恋の宝石ずっと輝かせて2

「なあ、あんたさ、こんな夜遅くに山に登るつもりなのか? そっちは家なんかないぜ」

 見かけはユキでも中身はトイラなために、カネタにとって馬鹿にされたような気分になった。

「俺は夜行性でね。うろつきまわるのが好きなんだよ。こういう蒸し暑い夜は山の方が涼しいからね。とにかくお嬢さんこそ早く家に帰った方がいい。女の子が真っ暗い夜道にいるなんて襲ってくれって言ってるもんだ。それとあまり山神様のことに首を突っ込まない方が身のためだ。祟りがあるかもしれないぞ」

 精一杯の嫌味だった。

「どうしてそれを知ってるんだ」

「さっき仁から聞いたよ。宿題の自由研究のテーマなんだろう。もっと違うこと調べた方がいいんじゃないのか」

 仁が適当に理由をつけて話した事がトイラにも理解できた。

「あんたの知ったこっちゃないさ。折角面白いもの見つけたのに、ここで止められるわけないだろ」

「面白いもの?」

「ああ、究極の探し物さ」

「さっき仁も言ってたけど、もしかして赤石でも見つけたのか?」

 鼻で笑うようにカネタは言った。

「ああ、そうだ」

 トイラのその言葉に、カネタの態度が突然変わったのが暗闇の中でも伝わってくる。

 トイラは本能で何かを感じ取った。

「もしかしてあんたも赤石探してたのか?」

 トイラが鋭く言えば、カネタはおどけるように笑った。

「まさか。そういう話は今夜初めてジンの口から知っただけだ。それでその赤石は手にしてどうするつもりだ。そんなもの持ってたら罰が当たるんじゃないのか」

「まだ手に入れた訳じゃない。ただ見つけただけだ。これからどうするか仁と相談して決めるところさ。それじゃな」

 トイラは再び自転車を漕いですぐさまカネタの元から去った。

 カネタは過ぎ去って行くユキのシルエットを焼き付ける思いで、細い目をきつくして見ていた。